プチ花見

nono2102010-04-06

 午前中、息子と共に床屋へ。5年程前、容姿への拘りが、どこか断ち切れたように美容室を卒業し、それからずっと通っている床屋だ。髭や顔を剃ってくれるし便利なのもあるが、それ以上に、釣り好きのオヤジと話す1時間半は、胸の大きな若い女の子に髪を洗われている時のドキドキ感よりも、楽しいと思えるようになったというのもある。
 そこで息子と椅子を並べて髪を切って貰った。初めてだったというのもあるが、それがすごく新鮮だった。思い返しても、自分が子供の頃、こうやって父親と並んで髪を切った憶えはない。何だか一昔前の下町を舞台にしたホームドラマ的な幸せ感がそこあった。
 髪を切り終えたのは11時半頃。ポカポカ陽気に自転車の後ろにいる息子も気分上々。桜のループを疾走するのは私も気持ちがいい。息子は初めての床屋の感想なんかをあれこれ述べている。
 「お昼ごはん、花見しよっか」
 息子が言った。
 もうすでに桜は散り始めていたが、言いたくもなるような天気と気分である。
 「そうすっか!」
 そのまま車に寄って、キャンプ用の椅子を取って、家に帰る。
 「じいちゃんおらんね」
 ベランダから見渡す。すぐに発見!川沿いをトボトボと歩いていた。
 そのまま川に降りてじいちゃんと合流し、土手にブルーシートを広げて弁当を食うつもりだったが、ふと何かが「待て」とオレを止める。
 椅子は用意した。キャンプ用で不安定だが、座る時と立つ時にフォローすれば、それは何とかなる。が食べる時どうすればいいのだ...。片手しか使えないじいちゃんにはテーブルが必要だ。適当なものはないかと、アレコレ家中を探すが、見つからない。(これから温かくなってくるので、今後の為にも軽くて携帯しやすい小さなテーブルをどこかで買っておこう。)
 今回は、仕方が無いので、少々遠いかもしれないとは思ったが、テーブル付きベンチがある公園まで行くことにした。ただ、わざわざ歩いていって、ベンチが空いていなかったら...という不安があったので、一応、椅子2個とブルーシートを持っていった。
 公園ににつくと、案の定、テーブル付きベンチは満員だった。ところが歩いてベンチの方まで行く間に、テーブルが空いた。すぐさま息子を走らせ場所取りをさせると、私はそのままホカ弁に走った。昨今は「何が食べたいか?」など訊かない。「なんでもいい」としか返ってこないことを知っているからだ。
 ホカ弁で適当に4つ弁当を頼むと、隣のコンビニでジュースと小さなビール缶を2つ買った。昼からお酒は少々気がひけるが、ホカ弁だけじゃ花見気分は味わえない。
 小さなビール缶だったが、差し出すと、じいちゃんは満面の笑みを浮かべた。それで、子供たちも含め4人で乾杯すると、生暖かい風と優しい日差しが、後押しするように、じいちゃんの喉をビールがグビグビと通っていった。それからしばらく子供たちを遊ばせた後、ゆっくりゆっくりと帰宅した。
 夕食は適当に作った。カロリー計算はやめたが、2ヶ月半の間に、計算しなくても、いつの間にか低カロリーな食事を作ることが身についてしまったようだ。これまでとそんなに変らんだろうと思われる。